一次予防と二次予防
がんの予防には大別して二つの方法があります。がんの発生を根本的に防ぐための「1 次予防」と検診などによる早期発見、早期治療の「2 次予防」です。
1 次予防は、火事にたとえると火を出さないようにする「火の用心」を心がけることであり、2 次予防は出火を早く発見して、ボヤのうちに消しとめ、全焼を防ごうということです。私たちのからだは、50 兆~ 60 兆個の細胞からできていますが、この細胞にいろんな発がん作用が加わり、突然がん細胞に変化します。
がん細胞には、成長の早いものと遅いものがありますが、放っておくととめどもなく増え続けます。そしてがん細胞はさらに隣の組織や臓器にまで入りこんで (浸潤) 増えたり、離れた臓器に飛び火して (転移) 増えたりする性質があって、周囲の組織を破壊し、その人を衰弱させて、ついには死に至らしめます。
働き盛りの命奪う
がんは一種の生活習慣病です。子宮頸がん、乳がんは 30 歳代から、胃がんは 40 歳代から、肺がんは 50 歳代から、患者も死亡者も急増しています。死因の割合を年齢別にみると 50 歳代と 60 歳代のがんは 40% を超し、働き盛りの年齢層に集中しています。社会にとっても家庭にとっても大きな損失となっています。いま日本対がん協会が最も力を入れているのが壮年層のがん死半減運動です。
がんの予防は 1 次予防が重要ですが、罹ってしまったら 1 日も早くがんを見つけて早く治療を受けるのが最善です。
老人保健法で検診普及
がん検診は、1983 年の老人保健法施行で、市区町村が住民を対象に実施するよう定められたことから、全国に広く普及しました。98 年度には老健法の対象から外れましたが、厚生省は引き続き、胃がん、子宮がん、肺がん、乳がん、大腸がんの各検診を実施するよう、都道府県などに「指針」を示しています。
「役に立つ がん読本」
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