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環境ホルモンってなに ?

化学物質は私たちの生活を豊かなものにしましたが、その反面、最近ではこの化学物質が私たちの健康を害する事例が多く取り出されています。例えば、最近話題の残留農薬や環境ホルモンなどがあります。ここでは、環境ホルモンについてお話しようと思います。

環境ホルモンという名前から、ホルモンの一種 ? とお考えになる方もおられると思います。ホルモンは脳下垂体、膵臓、精巣、卵巣などといった内分泌腺で作られ、血液によって各器官に送られているいわば化学メッセンジャーのような存在で、生体を一定の状態に保つ重要な役割を果たしています。このホルモンの例としては、皆さんもよくご存じの女性ホルモン、男性ホルモンといった性ホルモンや等の分解を促すインシュリンなどが挙げられます。これに対して環境ホルモンは、学術的にはない文筆攪乱化学物質と呼ばれて おり、生体内で営まれているホルモン作用に何らかの影響を与える環境中の化学物質のことです。ホルモンは必要なときに必要な量だけ産出され、なくなれば生理的作用もなくなりますが、環境ホルモンが生体内に取り込まれると、本来ホルモンがあってはならない時にホルモンと同じような働きをしたり、逆にホルモン が必要なときに正常なホルモンの働きを阻害したりして生体内のホルモン作用を攪乱してしまう可能性があります。このように環境ホルモンが生体内に取り込ま れ、ホルモンバランスが崩れると、内分泌系、生殖系、神経系、免疫系などに様々な問題を引き起こす可能性があると指摘されています。

では、どの化学物質が内分泌攪乱作用を及ぼすのでしょうか ?

ひとえに化学物質といっても膨大な数があり、例えば米国で市場に出ている化学物質だけでも、8 万 7 千種もあります。現在、そのうちの 1 万 5 千種におよぶ化学物質の内分泌攪乱作用について、調査が行われています。今のところ、化学物質として、ダイオキシン類、PCB をはじめ農薬類、プラスチックの原料や可塑剤、界面活性剤など約 70 種類の化学物質がリストアップされていますが、今後調査が進めば増えることも予想されます。

次に問題となるのが、環境ホルモンによりどのくら い汚染されているか ? ということになります。この点については現在、国や県を中心として環境汚染状況を把握するためのモニタリング実態調査が行われています。また、当公社でも 新たに高感度な機器を整備し、フタル酸エステル類、アルキルフェノール類、有機塩素系農薬およびトリアジン系農薬をはじめとする農薬類等、60 成分についての環境ホルモン分析を行っています。その際にはぜひご相談ください。

環境ホルモンについてはここでお話したように、生体内のホルモン作用を攪乱する化学物質ですが非常に多種多様であり、どの化学物質が攪乱作用を持っているのか、またどのようにして攪乱させるのかといった不明な点が多く残っており、調査研究が急務となっています。

環境事業部 環境化学課